米中時代に備える
尖閣事件の背後にある大きな流れを見失ってはいけない。
わが国に迫る危機を見極めることができるか、そこが肝要だ。
時間は刻々と迫っている。
世界はパクス・アメリカーナのもと、大きな戦争を起こさずに来れた。
東アジアの平和も、日米同盟の役割は大きかった。
しかし、今後アメリカの衰退は明らかで、
世界全体を支配できるほどの強大な軍事力、それを支える経済力を失いつつある。
熱烈な支持を得てその任に就いたオバマ大統領も、
経済の回復に十分な手を打てず、米国民の失望を買っている。
このままでは2012年に行われる大統領選挙で、
オバマ民主党は厳しい結果を得ることになるだろう。
共和党からどんな大統領候補が出てくるか、まだはっきりとしないが、
レーガン・ブッシュ路線のように、世界を股に掛ける「強いアメリカ」を継承するのなら良いが、
「他国のために米国青年の血を流さない」といった思想も近年増加していると聞く。
オバマが決めた国民皆保険も、長期的にアメリカ財政を苦しめていくのは自明の理だ。
すなわち、もはやアメリカ一国で世界を支配することは困難で、
アジアの大国・中国と分割して支配をすればどうかという、
日本にとってはあり得ない話であったとしても、
それが米国の国益に適うのであれば、十分にあり得る話が、
もう目前に迫っているように思う。
日米が共同で軍事演習を行おうとも、議会がNOと言えば、機能しないのが民主主義なのだ。
アメリカの大戦略の変化をよく見ておく必要がある。
わが国の取るべき方策は2つで、
1)アメリカとの外交パイプを強化し、より重要な意義づけを日米同盟に与えることを日本側から提案していく
2)並行して、米中時代に備え、わが国独自の防衛力と法整備を整える
と考える。
菅・民主党政権が2013年まで続くならば、
わが国の遅れは取り返しのつかないところまで行ってしまう。
国内の問題に汲々としているわが国の国政を、世界に目を向けさせねば、
米中それぞれの思惑に挟まり、
詰め将棋のように手がなくなってしまうことになりかねない。
畠中光成
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