暴走するデモクラシー

鳩山内閣は25日、外国要人との会見など天皇陛下の公的行為について、
「統一的なルールを設けることは現実的ではない」として、
個々の事例に則して判断する見解を示した。
 
昨年末、中国の習近平国家副首席と天皇の特例会見があったが、
これを正当化するかのような見解は明らかにおかしいし、
ようは「天皇は内閣の言うことを聞きなさい」ということであり、
不敬であるばかりか大問題である。
まさに「暴走するデモクラシー」ではなかろうか。
 
わが国は、明治憲法であれ、現行憲法であれ、
絶対君主でも国民絶対主権でもない。
天皇は「君臨すれども統治せず」、
天皇の政治利用があってはならない一方で、
天皇も政治が決めたことに対して拒否はしないのである。
これは憲法に明文化されずとも、永い歴史上、わが国が守ってきた不文律である。
鳩山内閣の見解は、この不文律を転覆することになる。
 
このような暴走が過去に起きたのはいつであったか。
日米開戦が決められる頃の、わが国の政治である。
そして軍部の独走を許すことになった。
暴走するデモクラシーはヒトラーさえも生んだ。
フランス革命さえも行われた。
国家の転覆は、歴史上ほとんど、
戦争などの外圧よりも、
絶対君主という上からの革命か、
国民絶対主権という下からの革命という、
国内の問題によって行われてしまうのだ。
 
なぜ民主党政権は、こうも浅薄なのだろう。
意図的であるにせよ、ないにせよ、明らかに間違っている。
何度も言うが、
「選挙で選ばれたら何でもできる」というのは大間違いである。
所詮数十年の経験による人間の浅知恵などロクなことがない。
その多数決が総意などと思ってはいけない。
 
何千年の歴史を弛まなく守ることを前提とし、
現実的諸問題に対処していくことが、
歴史と伝統を背負っている国家の政治ではないか。
 
 
畠中光成

はたなか光成 <元衆議院議員>公式HP

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