米国の中国シフトと東アジア共同体

米国の軸足が中国に移っている。
その大きなきっかけとなったのが、2001年の9.11アメリカ同時多発テロであったのではなかろうか。
なぜなら、事件後すぐに、中国は米国への支援を表明し、具体的な犯人情報の提供にも協力し、当時のブッシュ大統領はたいへん感謝したという。
 
1990年代終わり頃から中国発で、言い出された東アジア共同体構想。想定されていた国は日中韓+ASEAN10カ国。当初、米国は切り離されていた。
わが国においては、これに危機感を感じた当時の自民党政権が2004年、インド、NZ、オーストラリアを入れるように動き、中国の策略を封じ、中国発の共同体構想は一旦お蔵入りした。
この年は北朝鮮の拉致被害者5人の帰国が実現した年であるが、北朝鮮問題に絡む日中米の駆け引きに、6カ国協議という名の下に、米中が再び接近する。
2005年、米国が中国の敵視政策をあらため、手を結び始める。
北朝鮮問題に、米国が中国の力を借りるようになったためである。それに呼応し、中国側からこの東アジア共同体に米国を入れる提案をしはじめた。
 
わが国では2009年、政権交代が起こり、それと同時に鳩山首相は、東アジア共同体構想を提案したが、その加盟国は、日中韓+ASEAN10カ国、インド、NZ、オーストラリア。なんと米国が外されているのである。野球で例えるなら、打ったバッターが3塁側に向かって走るようなものである。誰がそんな国を信用するだろうか。
そうこうしているうちにリーマンショック以降の経済危機を乗り越えることが最大の課題であるオバマ大統領は、中国に米国債を購入してもらうことに腐心し、更に米国と中国の関係は深まっていき、日を追うごとにわが国の信頼は失墜している。
 
政権を選んだのは日本国民である。
わたしたち自らが、そのような行動をしているということに、
真剣に気づくべきである。
 
 
畠中光成

はたなか光成 <元衆議院議員>公式HP

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