日米同盟の正体

〝「日米同盟の正体」迷走する安全保障(孫崎享、講談社現代新書)〟を読んだ。
民主政権により沖縄の基地移設問題をはじめ、日米関係が冷え込む中、このタイトルの真意を知りたかった。
著者は外務省出身で、防衛大学で教鞭をとった経験もある、社会学的見地からの安全保障の専門家であるが、立ち位置はリベラル派である。
クラウセヴィッツの戦争論や、孫子の兵法を引き合いに、謀略を肯定し、9.11を21世紀の真珠湾攻撃と位置づけたところは面白い。
つまり、戦争は起こるべくして起こる、その動機は往々にして謀略から始まるということだ。
しかし、冷戦後のアメリカの戦略(イラン・イラク・北朝鮮を敵国とみなす)に否定的な立場をとっていることや、対中国の防衛を経済的アプローチで語っており、それでいて核武装を否定しているところに違和感を感じた。
 
アメリカは同盟国であるとはいえ、常に情報を取り続けないと、向こうの思惑を理解できない。
今の政権であればなおさらである。独特の論調から話題になっている本であるが、このタイトルの真意を知る目的には達せなかった。
〝「甦る零戦」国産戦闘機VS F22の攻防(春原剛、新潮社)〟のほうが、リアルで日米同盟の正体に近づけると思う。
緊密で対等な日米同盟とは、単なる米国依存からの脱却ではない。
双方の国益に適う道筋をつくっていくところにある。
 
 
畠中光成

はたなか光成 <元衆議院議員>公式HP

元衆議院議員 はたなか光成(無所属)の公式HPです。