葉隠入門

台風12号の大雨が続く日曜ですが、起床時間は変わらないので、
早朝から本を読み、7時に読了。
 
「葉隠入門」三島由紀夫
葉隠の最も重要な一節は「武士道といふは、死ぬ事と見付けたり」ですが、
他にも髄に響く言葉がたくさん記されています。
 
◎端的只今の一念より外はこれなく候。一念一念と重ねて一生なり。
(結局のところ重要なのは、現在の一念、
つまりひたすらな思いよりほかには何もないということである。)
 
◎天下国家を治むると云うは、及ばざる事、大惚の事の様なれども、
今天下の老中、御国の家老年中の仕事も、この庵にて咄し候事より外はこれなきものなり。
これにて成程治めてやる事なり。
結局あの衆は、心元なき事あり。
国学知らず、邪正の吟味せず、生まれつきの利発にまかせて、
諸人這ひ廻り、おぢ畏れ、御尤ももとばかり申すに付、
自慢私欲出来るものにて候なりと。
(天下国家を治めるということは、一般の人にはとうていおよびもつかない、
たいへんなことのように考えられがちだが、
現在、幕政の中心にある老中や藩の家老、年寄などの仕事も、私がこの草庵でいままで話してきたことのほかには、これといって特別のやり方をしているわけではない。私の話した心得によって、国を立派に治めていけるものなのである。
結局のところ、あの人々には何か安心できないところがある。
お国の伝統も知らず、正邪の判断もせず、ただ生まれつきの才気にまかせて仕事をしているからである。
みんなが権力をおそれてへいつくばり、ご無理ごもっともなどと頭を下げてばかりいるので、
いよいよ慢心と私欲にとらわれていくものだからである。)
 
畠中光成

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