海洋国家日本の構想

現在から近未来に渡って、わが国の外政における最大の悩みどころは、中国と米国の間で、如何なる政治的立ち位置を確保するかといったことであろう。
そのヒントを高坂正尭「海洋国家日本の構想」に求めてみた。
私の生まれる7年も前の書物であるが、今もなおその論の核心は錆びていない。
英国との比較の中で、英国は海洋国になりえたが、日本は島国の域を脱せていないという。
米国の軍事力の傘の中で、経済発展のみに努力を集めた代償により、海洋国特有の「冒険心」なるものを政治はもとより、国民の心理も失ってしまった。
このまま米国に追従し続けるか、中国の属国になるかの選択肢しかなくなってしまう。
まずは、わが国(わたしたち)自身が、経済論理一辺倒の価値観を改め、希望を広大な海に求めることのできる国家(氏はそれを「水平線が見える」という表現で語られた。)であることに誇りと情熱を持ち、独立国としての冒険心を持たねばならない。
その上で、やはり日米同盟を深化させ、異形の大国中国と向き合う必要があるのだろう。
国際政治学の大家として、現実主義者の立場で、外交・安保を論じておられた氏が、「冒険」や「情熱」を海洋国家日本に求めたところに深く共鳴した次第である。
 
 
畠中光成

はたなか光成 <元衆議院議員>公式HP

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