保守の運動論

参院選において民主党の敗北が強調されているが、
輿石氏の当選に象徴されるように、日教組や労働組合など、
組織に支えられた候補者は、世論の風当たりに関係なく強かった。
私の住む兵庫県選挙区においても、日教組出身の候補が手堅く2位当選した。
また、みんなの党は保守と言えないと思うが、公務員改革を訴えて、
既存政党に及ばずとも迫る勢いで全国的に高い支持を得た。
 
そんな中、既存政党・新党問わずしっかりとした理念を持つ保守系の候補者が、
案外ふるわなかった。
有権者の判断力に解を求める前に、保守の運動論こそが、
今回の参院選の課題であることが浮き彫りになったのではなかろうか。
 
今回の選挙で開票立会人をされた知人の話によると、
選挙区・比例区ともに同一の名前で、「公明党の候補者名」が記載された票が大量にあったと言う。
兵庫県では公明党の選挙区候補はいないため、選挙区票は当然無効になるのだが、
複雑な選挙ルールを習得してもらうよりも、
「たった一人の名前だけ」を徹底して書かせることを訓練させたのだろう。
このように、宗教という組織票は、善し悪しの判断を無視した塊となって、政治を動かすことになる。
 
民主党の支持団体である労働組合(連合)だが、
一口で労働組合といっても、その組織構成は複雑多岐にわたる。
鉄鋼や電機、教職員などといった産業別労働組合から、行政区別の組織連合体や各単一労働組合などである。
それらが、選挙になると一斉に、集会での動員やポスター掲示、推薦はがき記入など、
システマチックに動く集票マシーンとなる。
労組出身候補になるとその支援はより強力になるが、
民主党本部・県連・各選挙区支部、連合の本部・都道府県組織・行政区組織は、
それぞれ一体となって運動している。
事務所ビルが同一であったり、並びであったりすることも多々ある。
民主党と労働組合が別組織であるというのは、
公明党と創価学会が別のそれであると言うのと同じぐらいの方便である。
このように、労働組合という組織票は、善し悪しの判断を無視した塊となって、政治を動かしている。
 
一方、保守系勢力はどうであっただろうか。
しっかりとした理念に同調し、良心によって応援された方に、心から敬意を表する。
しかし、宗教組織や労働組合といった選挙マシーンに勝てなかった。
日傘をさした2人組の婦人達(学会の勧誘)に負けない歩行量と、
強制的に会費を給与天引し続ける形骸組織(労働組合)に負けない動員力を、
保守系候補とその支援者は身につける必要があることが分かる。
参院選の場合、広い選挙区となるため、どうしても組織有利にならざるを得なかった。
 
では、衆院小選挙区なら、どうだろう。
メディアという巨大な敵もあるが、徹底した地上戦においても戦うことのできる人材とそれらの連携こそが、
日本の危機を救うことのできる勢力になると思っている。
ねじれ国会がいかなる枠組みになろうとも、足元の運動論から見直さなければ日本の危機は変わらないのだ。
 
 
畠中光成

はたなか光成 <元衆議院議員>公式HP

元衆議院議員 はたなか光成(無所属)の公式HPです。