震災後の安全保障

東日本大震災後は、復興と原発問題、そして何より菅居座り問題一色だが、
わが国を取り巻く状況はもともと厳しいものであり、
安全保障や領土・領海問題においても政治に求められる課題は非常に大きい。
 
中国のシーパワーは日米同盟に比べれば恐れるに足らないものだと言えど、
南シナ海の主権錯綜を見ると、その政治力とミックスされれば、
世界のパワーバランスにとって十分すぎるほどの脅威となるだろうし、
東シナ海も常に注意を払っておかなければならない。
 
領土・領海問題においては、主権国家として反発をしつつも、
経済界が中国への投資を大きくしている為、結果として強く出ることを望まない態度に終始してしまうのは、
わが国のみならず東アジアの国々の同じ態度である。
 
日米欧いずれも経済が低迷する中で、中国をはじめとした新興国に経済界が期待するのは自然なことであろうし、
それを止めることもできない。
しかし、そのことと政治にビジョンが見られないことと同一に見るわけにはいかない。
中国市場を期待することと、中国政治力の膨張をともに歓迎しているわけではないのだ。
 
冷戦時代は、NATOと日米同盟によってソ連を封じ込め、
中国はユーラシアにおける「敵の敵は味方」として、
その時代に応じた外交が展開されてきたのだと思う。
外務省はじめ古参国会議員の中に、中国への親和性やある種の期待感情を持つ人が多いのは、
いまだにその名残があるのではないだろうか。
しかし、それはほんのここ数十年の話である。
何千年もわが国の為政者が守ってきた地理と歴史は、
国家の任にあたる人間にとって当たり前のことのように知っておくべきことだろうに。
 
震災を期に、
1)自衛隊予算と人員を増やすなど、自国の防衛力を高める
2)TPPなど自由主義圏との連携を強める
とにかく、中国依存から脱却するビジョンを持っておくべき。
(そのビジョンを自ら持つことが米国依存の脱却に他ならないのだ。
米国から離れることが米国依存の脱却ではない。)
 
軍事と経済を両面から見て、安全保障を考えるべきだと思う。
今、わが国が進もうとしている方向は、真逆を行っているような気がしてならない。
 
 
畠中光成

はたなか光成 <元衆議院議員>公式HP

元衆議院議員 はたなか光成(無所属)の公式HPです。