2014/04/17憲法審査会(井坂議員への提出者答弁)
○井坂委員 ありがとうございます。
以下、結いの党の畠中議員に伺います。
附則に「国は、この法律の施行後速やかに、年齢満十八年以上満二十年未満の者が国政選挙に参加することができること等となるよう、国民投票の投票権を有する者の年齢と選挙権を有する者の年齢との均衡等を勘案し、」とありますが、国民投票権の年齢が、例えば民法上の成人年齢に引きずられて、万が一下がらないようなことがあった場合、選挙年齢も下がらないといったことが起こり得る懸念があります。
実際、これまでも、三年たっても選挙権年齢が下がるような措置がとられなかったわけでありますから、速やかに国民投票権年齢及び選挙権年齢を下げるんだという意思をお示しいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
〔会長退席、武正会長代理着席〕
○畠中議員 御指摘の法制上の措置は、現行法が施行されるまでの三年間に義務として行うこととされていたものでありますが、現在に至るまで講ぜられていないということは、本来想定していなかった事態が発生しているというふうに認識しています。
先ほど答弁の中にもありましたけれども、本改正案においては、憲法改正国民投票の投票権年齢は、改正法施行後四年間は二十歳以上、五年目、正確に申しますと、四年と一日目からは十八歳以上として、選挙権年齢等の引き下げとの間にリンクを設けていないということを申し上げておきたいと思います。
さらに、御懸念の、均衡を勘案しというこの趣旨ですが、決して年齢が高い方、すなわち二十歳で均衡されてしまうということは、立法者の意思に反し、起こり得ないということも申し上げておきたいと思います。投票権年齢が改正法施行後五年目から十八歳以上となることを踏まえ、選挙権年齢も十八歳に引き下げよという趣旨にほかならないということを申し上げておきたいと思います。
○井坂委員 引き続き、結いの党の畠中議員に伺います。
我が国は、急速な少子高齢化にあり、日本国憲法制定時と比べれば、大きく人口構造が変化しております。社会制度上、世代間の格差の是正等も政治課題に上りつつありますが、こういった観点からも、投票権、選挙権年齢の引き下げを急ぐべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○畠中議員 委員御指摘のとおり、少子高齢化が進む現代においては、社会制度上の世代間格差の是正等の観点からも、投票権、選挙権年齢の引き下げを急ぐべきとの考え方については、大いに賛同するところでございます。
総務省が十五日に推計人口を発表しましたけれども、十五から六十四歳の現役世代の生産年齢人口が八千万人を割り込んでいて、一方、六十五歳以上の高齢者の割合は二五・一%と過去最高になっている、ゼロから十四歳の年少人口の割合は一二・九%と過去最低、こういうふうに人口構造が大幅に今変化している状況でありますから、こういった観点を、投票権の年齢、選挙権の年齢に反映してしかるべきだというふうに考えております。
引き続き、プロジェクトチームが設置されてまいりますが、議論をリードしてまいりたいと考えています。
○井坂委員 次に、公務員の政治的行為に係る法整備についてお尋ねします。
今回の改正案では、附則に、「組織により行われる勧誘運動、署名運動及び示威運動の公務員による企画、主宰及び指導並びにこれらに類する行為に対する規制の在り方について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずるものとする。」とあります。
一方の八党合意の確認書には、「改正法施行に当たり、国民投票運動を行う公務員に萎縮的効果を与えることとならないよう、政府に対して、配慮を行うことを求める。」とあり、やや混乱させる内容だと指摘し、これまでの協議の中でも、若年層の権利よりも公務員の権利の方が大事なのかと、バランスを欠いた案に対して懸念を表明させていただいておりました。ですので、先ほど質問させていただきました十八歳への年齢引き下げは、改めて強くお願いをしておきたいと思います。
さて、特定公務員の国民投票運動の禁止について、今回の改正案は、先ほどの質問でもありましたが、在職中に国民投票運動をすることができない者として、裁判官、検察官、公安委員会の委員及び警察官となっております。結いの党では、これ以外に、検査官、収税官吏及び徴税の吏員を対象に入れておりましたが、これは公選法との整合性をとるためでもありました。
今回、対象者を裁判官、検察官、公安委員会委員及び警察官のみにとどめた理由を、確認の意味で改めてお尋ねいたします。
○畠中議員 委員御指摘のとおり、当初、結いの党案では、よりシンプルに、公職選挙法に合わせて、検査官及び税務職員も国民投票運動を禁止すべきではないかとしておりましたけれども、各党の協議の中で、さきに述べた、国民投票運動を直接取り締まる、あるいは、それについて判断を下すような立場にはないこの二職種については、国民投票運動が禁止される主体に含めるべきではないのではないかということも合理的な判断だと考えまして、そのようにした次第でございます。
○井坂委員 重ねてこの問題、結いの党に伺います。
先ほどもありましたが、特定公務員の在職中の国民投票運動禁止、その違反に対して六カ月以下の禁錮または三十万円以下の罰金という罰則を設けておりますが、公務員等及び教育者がその地位を利用して国民投票運動を行った場合にも、禁止の実効性を高めるため、同様に罰則を設けることが必要であると考えますが、畠中提出者の見解を伺います。
○畠中議員 公務員等及び教育者が地位を利用して国民投票運動を行うことは決してあってはならないことでありまして、現行法でもそれについて明確な禁止規定を設けています。しかし、これに対する罰則は設けられておらず、この点については今後の検討課題になっています。
今後、プロジェクトチームの中で、この論点についても大いに議論をして、前向きな検討を行っていきたいと思っております。こういったことが確認書にも盛り込まれておりますので、さらに議論を深めたいと考えております。
○井坂委員 次に、国民投票の対象拡大について伺います。
憲法改正以外の重要問題に関する国民投票については、これまでも複数回、憲法審査会から委員が海外派遣され、審査会でもたびたび議論されるなど、そのメリット、デメリット双方について、我が国でも一定の蓄積があるはずです。
結いの党案においても、原案を発議するための賛成者要件は、衆議院では議員百人以上、参議院では議員五十人以上とするなど、乱発を防ぎ、あくまで予備的な国民投票にするなど提案し、この問題に答えを出させていただきました。
こういった重要問題について、間接民主制との整合性の確保は考えつつも、我が国にとって極めて重要な問題と捉え、政治課題として国民の意思を問う仕組みは重要だと考えますが、結いの党の畠中提出者の御見解を伺います。
○畠中議員 政治課題として国民の意思を問う仕組みは重要だという考え方には全面的に賛同するところでございます。
その上で、今回、国民投票の対象拡大については、既に現行法の附則十二条で検討条項が置かれているところであり、今回の改正案を取りまとめるに当たっても、いわゆる一般的国民投票制度の導入についてさらに前向きに検討していくべきという意見が、我が党を初め、ほかの党からも多く出されたところでございます。
結果的に、今直ちに具体的な制度設計をするには至りませんでしたけれども、これまでの検討をさらに一歩進める、より前向きに検討していく、こういう趣旨を明確にするため、現行法附則十二条の文言を一部改めた上で、意義や必要性の有無についてという、この「有無」を取り払い、意義や必要性についてということに改めまして、そして、「更に検討を加え、」ということで、「更に」という文言をつけ加え、より前向きな意思ということを明確にさせていただいたわけでございます。
一般的な国民投票については、現行の憲法が間接民主制をとっていることから懸念される方も多いと思います。しかしながら、憲法自身が例外的に直接民主制を書いている事項もありまして、例えば、この憲法改正に対する国民投票であるとか、最高裁判所裁判官の国民審査とか、あるいは地方特別法の制定に関する住民投票があるわけです。
すなわち、限定的ではありますが、憲法は直接民主制を容認しているというのは、昭和五十三年の真田内閣法制局長官の答弁にもあるわけです。「法的な効力は与えない、どこまでも国会が唯一の立法機関であるという憲法四十一条の原則に触れないという形に制度を仕組むということであれば、まずその点は憲法に違反しない。しかも、どういう事項についてこれを国民投票に付するかということについても、国会自身が決めるということであれば、それはやはり国会が国権の最高機関であるという原則にも触れない」と、諮問的な国民投票は間接民主主義に反しない、国民投票の合憲性に関する答弁が過去にございます。
結いの党が提示させていただきました国政重要問題国民投票制度の創設は、まさにこの趣旨に沿った形での制度設計をしておりまして、今、井坂議員がおっしゃったような事案についても、国民の意思を問う仕組みをさらに検討していくべきだと考えています。
衆参の憲法審査会の場において定期的に議論されることとなるでしょうから、我が党は、これに関する議論を積極的にリードしてまいりたいと考えております。
○井坂委員 時間が迫ってまいりました。最後に、端的に一点だけ。
各党協議で、この改正案で、先ほどのように、「その意義及び必要性について、」「更に検討を加え、必要な措置を講ずる」、こういう検討条項を附則に規定することになったわけですが、具体的にどのように議論を進めていこうと考えておられるのか。時間が限られておりますので、端的にお願いをいたします。
○畠中議員 先ほど船田提出者からも御答弁がございましたが、この一般的国民投票制度のあり方については、衆参の憲法審査会の場において定期的に議論されることとなるよう、それぞれの幹事会等において協議、決定する旨を提出会派の間で合意したところでございます。
具体的には、憲法審査会が四、五回開かれたら一回は一般的国民投票制度を検討するための憲法審査会を開くということの合意でございまして、こういった中で、結いの党、今回制度設計をさせていただいた内容もさらに議論の中に盛り込ませていただきまして、この検討を前に進めていくことができればと考えております。
○井坂委員 ありがとうございます。
結いの党は、戦後、日本国憲法が果たしてきた役割を正当に評価するとともに、時代の要請に応じて不断の見直しを行う、こういう立場で憲法議論を今後も引き続き深めていくことを表明いたしまして、本日の質問を終わります。
どうもありがとうございました。
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