アベノミクス3本の矢の失敗などについて質問しました!(本会議質疑概要)

【畠中】
総理は、今回のサミットで、いわゆるアベノミクスの成果を強調された。
アベノミクス三本の矢の一本目、大胆な金融緩和はみんなの党が従来から訴えてきた政策。これを大胆にパクって頂いた。
株式市場もこの政策を評価し、株価は5月には16,000円に迫ろうという回復を見せた。
しかしその後、株価は乱高下から下落の様相を呈している。
米国のQE3終了への道筋が示されたことなど海外の要因もあるが、アベノミクスへの期待感が揺らぎ始めているということ。
それは、大胆な金融緩和以外の二本の矢がマト外れだったからではないか。
二本目も三本目もみんなの党の政策をパクって頂いたならば、マトを外さずに済むのにと、残念でならない。
 
アベノミクスの二本目の矢は、国土強靭化という名のもとに、無駄な公共事業に費やされている。復興という仮面をかぶり、予算の管理もきちんとできないような大規模な公共事業を日本全国で行う必要が果たしてあるのか。
みんなの党ならば、二本目の矢は、何よりも消費増税凍結でマトをしっかりと射止める。
今回のサミットでは、総理は各国首脳から、我が国の財政健全化の必要性を指摘された。
それもあってか、サミット終了後に開催された英国ロンドンでの講演では、「伸びる社会保障費への対応と国の信認を確保することが非常に大事だ」と述べ、「総理が消費税率引き上げに意欲を示した」という報道につながった。
 
バラマキでお金が無いから増税する、というのでは、古い政治への逆戻りだと言わざるをえない。
一方、総理は、消費税増税は4-6の経済指標を見て決める、とおっしゃっている。
今年の一四半期の経済指標で、本当に来年の経済が判断できるとお考えか?
 
自民党の公約にも掲げられた名目成長率3%という目標は、消費増税を優先するために、わざと低く抑えたものではないか?
総理の本心はロンドンの講演のように、消費税増税を既定路線としたものではないか?
 
アベノミクス三本目の矢の成長戦略について。
G8でおっしゃられた「チャレンジ・オープン・イノベーション」。
英語で聞くと、まるでユア・パーティ、みんなの党の政策のようだが、目新しい政策は見当たらず、中途半端な内容と言わざるをえない。
私が申し上げずとも、市場はよくわかっているようで、政府が成長戦略の素案を発表するごとに、株価が下落するという有様。
その原因は、戦略の内容が官僚主導によって作られた、前の自民党政権の焼き直しと民主党政権からの引き継ぎでしかないから。
 
総理、弓道に「正射必中」という教えがある。
よこしまを捨て、姿勢を正せば、矢は真っすぐ飛ぶ、という意味だ。
アベノミクスは、官僚や族議員、業界団体にとらわれたりすると、マトから外れることになる。
みんなの党の考える成長戦略は、まさに正射必中。
既得権益に切り込んだ大胆な規制改革。
 
とりわけ、電力・農業・医療の三分野で闘う改革を進める。
電力については、徹底した電力自由化・発送電分離で、世界で二番目に高い電気料金を引き下げる。
消費者の電力会社選択を可能とし、業界の競争を促進すれば、安くもなく安全でもない原発は市場から淘汰され、脱原発にも繋がる。
福島第一原発事故の後、未だにふるさとに帰れない人が大勢いらっしゃる中で、原発再稼働を実施する。加えて、その原発を海外に輸出しようとする。
先日、自民党の高市早苗政調会長は、「福島の原発事故で死亡者は出ていない」と発言し、その後撤回されたが、まさにこれは自民党政権の原発に対する意識の現れではないか。
国会対応は安全運転の総理だが、原発については決して安全運転ではないようにも思える。
総理、我が国の電力改革、原発の将来についてどのようにお考えか。
 
みんなの党は、農水省と農協によって過保護なまでに守られた農業を改め、株式会社やNPOの参入で新たな担い手を増やす。
減反政策は段階的に廃止し、美味しくて安全なコメを、中国をはじめ海外にも輸出できる、自立した立派な成長産業へと農業を変えるべきだ。
TPPの交渉参加が目前に迫っているにもかかわらず、総理はサミットの全体会合でTPPに関して触れられなかった。
これは、総理が日本の農業改革に自信を持っていないということではないか。お考えをお伺いしたい。
 
また、医療分野では、混合診療の解禁や株式会社の参入を実現すべき。患者の利益や、医療技術の向上にも繋がる、まさに成長産業となりえる。
これらの、規制で雁字搦めになった分野にこそ日本の成長の余地がある。
 
しかし安倍総理には何故それが出来ないのか。それぞれ、電事連、農協、医師会という「既得権三兄弟」がいるからではないか。
総理がこうしたしがらみに配慮した結果、アベノミクスの成長戦略は失望されていると考えるが、ご見解をお伺いしたい。
 
最後に、みんなの党は規制改革、公務員制度改革、選挙制度・政党改革を「改革三銃士」として位置付け、闘う改革を貫くことをお誓い申し上げる。
 
【安倍総理】
消費税率の引き上げの判断について。
今般の一体改革による消費税率引き上げは、増大する社会保障の持続性と安心の確保、国の信認維持のために行うもの。
民間企業の契約の実態など、国民生活等への影響を考えて、引き上げの半年前に、附則第十八条にのっとって、特定の経済指標だけではなく、名目及び実質の成長率、物価動向等、種々の経済指標を確認し、経済状況等を総合的に勘案して、判断してまいる。
今回のG8やロンドンでの講演においても、こうした考えを説明したところ。
 
また、今後十年間に、平均で、名目成長率三%程度、実質成長率二%程度の成長を実現するという目標は、決して、御指摘のように、わざと低く抑えたものではない。
いずれにせよ、この目標達成を目指し、三本の矢で、長引くデフレから脱却し、日本経済の再生に全力を挙げてまいる。
 
我が国の電力改革、原発の今後について。
政府、そして自由民主党としては、常に、被災地の方々に心を寄せて、被災地の復興に全力を挙げている。今後の原子力政策についても、あの過酷な事故によって不自由な避難生活を強いられている被災者の方々のお気持ちを忘れることなく、進めてまいる所存。
原発については、安全第一が原則。その安全性については、原子力規制委員会の専門的判断に委ね、新規制基準を満たさない限りは、再稼働はしない。

電力システム改革は、東日本大震災と、これに伴う原子力事故を踏まえた、エネルギー制約克服のための、待ったなしの取り組み。電力システムの抜本的な改革を盛り込んだ電気事業法改正法案を国会に提出しており、ぜひ、今国会での成立をお願いしたい。
 
我が国の農業改革について。
米の生産調整については、国内の米の消費量の減少傾向を踏まえれば、一定の需給調整は必要と考えているが、農産物の輸出拡大をはじめ、我が国の農業の潜在力を引き出し、農業を、多くの若者が働きたいと思えるような、魅力ある産業としていかなければならない。
このため、官邸に、農林水産業・地域の活力創造本部を設置したところであり、今後、政策の実現に全力を尽くしていく。
なお、G8サミットの場においては、米国、カナダとTPPについて意見交換を行うとともに、G8全体会合の中でも、WTO、経済連携の推進について議論を行った。
いずれにしても、私は、改革を成功させ、我が国の農業を必ずや魅力ある成長産業とすべく、取り組んでまいる。
 
しがらみに配慮した結果、成長戦略が失望されているのではないかという点について。
日本再興戦略では、電力システム改革、TPP交渉への参加決断、保険外併用療養の対象となる先進医療の大幅拡大など、大胆な判断を下した。
今後は、施策ごとに策定した工程表に基づき、速やかに所要の措置を講じてまいる。
また、改革に終わりはなく、さらなる高みを目指して、残った課題について、秋以降も、引き続き取り組んでまいる。