東シナ海の情勢やマイナー自衛権について質問しました!(安全保障委質疑概要)

【畠中】
日本は、世界に通ずる海を擁する海洋国家というのが、私の基本的な国家観。
我が国は、四方を海に囲まれているがゆえに、島国根性という言葉がありますように、閉鎖的な考え方に陥りがちでもある。
しかし、一方で、広大な海に目を向けると、水平線の先に世界とつながっているということを感じることができる。
故高坂正堯教授は、「海洋国家日本の構想」の中で、海洋国家に必要な要件について、一つに通商国としての開放性、二つ目に戦争を避ける同盟、そして三つ目に何より世界を見渡す政治の構想力が必要だという趣旨の主張をされていると記憶している。
一つ目の通商国としての開放性は、TPPなど、アジア太平洋、海洋国家群との連携強化。
二つ目の戦争を避ける同盟は、日米同盟をしっかりと深化させつつ、離島防衛等、我が国自身でしっかりと防衛できる法整備。
三つ目の世界を見渡す政治の構想力というのは、国家安全保障会議、日本版NSCによる司令塔や官邸機能の強化。
これらは、早急かつ適切に整備をする必要がある。
今の三つのキーワードは、我が国が抱えている安全保障環境においても極めて重要。
この海洋国家としての生命線は、まさに海にある。どんな小さな離島の一つ、どんな大きな領海の一部でも、それをとことん守り抜くという姿勢が極めて重要。
その中で、昨今の南西方面の情勢は憂慮すべき状況。南西方面における中国による海洋活動の現状は。
 
【小野寺防衛大臣】
御指摘のように、中国は、東シナ海や西太平洋等で活動を急速に拡大、活発化させている。
特に、昨年9月以降、中国公船による我が国領海への断続的な侵入や領空侵犯などが発生。
中国側の動向について引き続き注視する。
 
【畠中】
中国の尖閣諸島周辺の領海侵入が急激に増えている。
相手国の意図は。
 
【小野寺防衛大臣】
中国の領土・領海防衛や、台湾独立の抑止のための軍事的能力の整備、中国が独自に領有権を主張している島嶼の周辺海域における各種の監視活動や実力行使などによる当該島嶼に対する他国の実効支配の弱体化、海洋権益等の主張等が考えられる。
 
【畠中】
中国は力による現状の変更の試みを含む高圧的とも言える対応を行っている。
その挑発は安易に乗ってよいものでない。
先に手を出した方が国際的な批判を受ける。
このような事態において、NSCの創設が望まれる。
外交・防衛が一体になって相手国の意図など、高度な分析を行う体制を作って欲しい。
また、それをもとに中長期の戦略をしっかりと立てていただきたい。
現在の安全保障環境の特徴は、治安と防衛、犯罪と侵略といったことが明確でなくなってきていること。
例えば、膨大な数の中国漁船などが尖閣にあらわれた場合等、尖閣をめぐってはいろいろなケースが想定される。
海上保安庁の能力を超えて、自衛隊の出動を判断するケースに現行法制の枠組みの中でも適切に対処できるとお考えか。
 
【小野寺防衛大臣】
ご指摘のとおり、情報の分析、政策立案はNSCの大変重要な役割となると思う。
一般論としては、領土、領海の治安の維持については警察や海上保安庁が一義的な対応の責任を有している。しかし、防衛省・自衛隊としても、治安出動や海上警備行動などの発令により警察機関と連携しつつ対処することが可能と思う。
 
【畠中】
尖閣周辺の事態において、武力攻撃でない場合は防衛出動を下さないということになるのだと思う。
自衛隊の行動は、果たして十分と言えるか。
海上警備行動には、警察比例の原則が働く。治安出動も、警察権の域を出るものではない。
私としては、それであらゆる事態に対応できるのかが問題意識。
いわゆるマイナー自衛権の世界もしっかりと整理していく必要があると考える。
 
【岸田外務大臣】
国連憲章51条に定める、武力攻撃に至らない侵害に対して自衛権を行使することは認められている。
 
【畠中】
武力攻撃以外の侵害に対する自衛権をマイナー自衛権と呼ぶと考える。
これは、我が国憲法下でも認められるか。
 
【近藤政府参考人】
マイナー自衛権の定義はいろいろな議論がある、
憲法九条のもとで武力行使が認められるのは、いわゆる自衛権発動の三要件を満たす必要がある。
 
【畠中】
私はマイナー自衛権は憲法の枠内で十分に認められていると思うが、一番の問題はマイナー自衛権の概念自体に整理がついていないこと。
2002年にも衆議院安保委で同様の議論が行われたが、その後の検討状況は。
 
【小野寺防衛大臣】
2002年4月に安保委理事会に考え方を提出。
武力攻撃事態以外への対処について法的整備を行っている。
例えば、2001年に警護出動を創設。2006年に弾道ミサイル破壊措置等を創設。
関係省庁と綿密に連携しながらしっかりとした対応をしてまいりたい。