2014/02/28予算委員会(締め括り総括)

○畠中委員 結いの党の畠中光成です。
 三月十一日で、あの東日本大震災から三年になろうとしています。被災地の住宅再建や、福島の原発事故に伴って避難を余儀なくされている方々の帰還など、まだまだ道半ばです。復興に向けては与野党を超えて取り組む必要がありますけれども、言うまでもなく、経済の再生が極めて重要で、四月の消費増税を控える中、この平成二十六年度予算は問題が多いと言わざるを得ません。
 私は、この震災については人一倍思い入れがございます。といいますのも、私が大学卒業を控えた平成七年、一九九五年の一月に地元で阪神・淡路大震災がありました。私の家も全壊をいたしました。あれから間もなく二十年がたとうとしています。その後間もなく、私は初めての社会人として大手の生保会社に就職しましたが、いっときは仮設住宅から通勤をしたことも覚えています。
 当時を思い起こせば、阪神の震災から二年たった一九九七年、消費税が三%から五%になりました。皆様も御記憶のことかと思います。私にとっては、それがちょうど入社してから三年目ぐらいでありました。それまでの社内の雰囲気としてはあり得なかった突然の業績悪化、対前年割れ、それから毎月毎月前年割れをしていくような、いわば右肩上がりの終えんの節目を目の前で体験いたしました。そして、それは自分の会社や業界だけではありませんでした。地域の中小企業はもちろん、ほかの大手企業やメーカーでさえ、軒並み右に下がっていった時代でありました。
 阪神の震災の際も、消費増税は、復興需要に冷や水を浴びせ、阪神間のみならず全国に景気の悪化を招いた一因となったように思います。長い間、その爪跡は特に被災地に残りました。もちろん、その原因が全て消費増税だとは申しません。アジアの通貨危機だってありました。しかし、申し上げたいのは、そのときと今が余りにも酷似しているのではないかということ。
 東日本の震災から三年がたとうとしている今、復興も道半ばです。四月からは、消費税が五%から八%になります。そこで、アベノミクス一本目の矢の効果も切れかかっていて、二本目、公共事業と基金に頼り過ぎて、復興関係の基金も執行されずに積み上がっています。それと、三本目に至っては、医療、農業、電力、こういった既得権に切り込めていない。
 こういった成長が期待できる分野にしっかりと投資をしていく、政治は、切り込んでいく、規制改革、こういうことができていない。旧来型の経済政策と何ら変わらないため、景気回復は巡航速度に至っていないのではないでしょうか。
 そこで、総理にお伺いします。
 九七年の消費増税後の経験を思い起こせば、私は大変心配しておりまして、グローバル化した経済の中で、安倍政権を支えているこの株高だって、どうなるかわからないんじゃないでしょうか。総理は先行きを楽観視し過ぎているのではないでしょうか。
 この四月の消費増税をしっかり吸収できる予算になっているのかどうか、お聞かせいただけますでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 今回の消費税の引き上げについては、伸びていく社会保障費に対応して、次の世代に世界に冠たる社会保障制度を引き渡していくためでもあり、また、我が国の国の信認を維持していくためのものであります。
 一方、安倍政権としては、デフレ脱却、これを大きな目標に掲げている中において、三本の矢の政策によって、今、デフレ脱却に向けて着実に進んでいるわけでございます。
 そこで、例えばデフレ状況についてでありますが、現在デフレ状況ではなくなりつつある、こういうふうに認識をしているわけでございますし、経済の各指標は全て、ほとんど好転をしているわけでございます。
 ただしかし、同時に、私ども、今おっしゃった一九九七年の引き上げのときの状況等を十分に検証しながら、消費税を五%から八%に引き上げていけば、影響も出ますし、反動減もあります。今進めているこの政策、成果が出ているわけでありますが、これが腰折れにつながっていくことがないかどうか。そのために、私は、決してそんな楽観的な見通しということではなく、慎重に検討を重ねたわけでございます。だからこそ、昨年、専門家の皆様にお集まりをいただきまして、検証、検討をしていただいたところでございます。
 その中におきまして、先般、御審議、成立に御協力をいただきました補正予算におきまして、五・五兆円の経済対策パッケージ、そして一兆円の税制対策を行う。これを行っていけば、影響を緩和し、そして、七―九から今の勢いを取り戻すことができる、こう考え、我々は消費税の引き上げを判断したところでございます。
 状況としては、阪神・淡路大震災があって二年後に引き上げた、そして今回も、東日本大震災の後二年経過して消費税を引き上げていくという外見的な状況は似ているわけでございますが、当時はアジアの通貨危機もあって、その後の金融不安が起こったということもありますし、また、あのときは社会保険料もぐんと上げてしまったということもあるわけでございます。
 今回は、今の現状におきましては、企業の財務体質は、自己資本比率が上昇し、強化されているということ。そして、全国銀行の不良債権比率が低下するなど、金融システムは安定をしている。一方、社会保障費の割合、そして長期債務残高を見ると、安定財源の確保、そして国の信認が大切だろうという観点から、消費税率を引き上げる判断をしたところでございます。
 しかし、今後、消費税の経済に与える影響、こうしたものは十分に注視をしながら、必要な対策は、対応していかなければならないと考えておりますし、日本銀行におきましても、黒田総裁は、さまざまな状況の変化に対してしっかりと対応していくという趣旨のことをおっしゃっております。
 いずれにいたしましても、この反動減を抑制するための予算は、しっかりと、タイムリーに実施していくことが大切であろう、このように思っております。
○畠中委員 私ども結いの党といたしましても、この四月の消費増税、このタイミングではいかがなものかと思います。きっと、先ほどのみんなの党さんもそのことを聞きたかったのではないかというふうに思いますけれども、しかしながら、現実的にこの四月に消費増税が控える中で、私ども結いの党は、先ほど趣旨説明もさせていただきましたが、維新の会さんと共同でこの修正案を提出させていただいたわけであります。
 この中では、増税の前にやるべきことというのを織り込んだ修正案にさせていただいています。
 一般会計六千四百八十四項目、約九十六兆円、特別会計千四百九十八項目、約四百十一兆円を精査して、その重要度、緊急度を勘案して、歳入歳出を七兆六百三十九億円削減したわけであります。
 政府案の公共事業中心の施策よりも、減税の方がはるかに効果が高いと考えます。法人税減税、所得税減税、こういったことをしっかりと行って、行財政改革を行うべきです。
 特別会計、埋蔵金も活用して、不要不急の基金への積み増しは、修正案では二割削減しています。
 もちろん、長期的に見て投資効果の高い部分、あるいは、今、防衛費で特に必要と思われるもの、これは増額をしている。
 こういった現実的な修正案を出させていただいたわけでございます。こういった旧来型の予算編成から脱却せずして、経済の再生はなし得ないのではないでしょうか。
 全ての公共事業を否定しているわけではありませんが、公共事業に関して、不用、繰り越しが多発しています。経済効果が高く、必要性の高い事業をどのように選択しているのか、お聞かせいただけますでしょうか。
○太田国務大臣 国土交通省がかなりの部分を占めますので、私の方から。
 国土交通省の公共事業予算については、二十五年度十一月時点で七〇%が契約済みになっておりまして、昨年の同時期を上回る水準で予算が執行されています。十一月末ですから、それから十二、一、二となりますと、ことしはかなりの執行率になるというふうに思います。
 公共事業に関する問題としては、最近の大雪もありますし、想定される首都直下地震や南海トラフ地震など、災害が局地化し、そして集中化し、激甚化しているということへも対応していかなくてはならないというふうに思っています。これなくして経済や生活が成り立たないということを意識しなければならないというふうに思っております。
 このような状況でありますものですから、平成二十六年度予算案におきましては、防災、減災、老朽化対策、メンテナンス、耐震化のうち、必要性、緊急性の高いものについて重点的に事業を行うことになっておりまして、防災、減災、老朽化、この比率が全体の五三%、例年よりもこれはふえるという状況になっておりまして、命を守る公共事業になっているという状況にございます。
○畠中委員 また、増税の影響を直接受ける家計への配慮というのはどのようにお考えなんでしょうか、お答えください。
○麻生国務大臣 増税にかかわる、家計に対してどのような影響が出るかということでありますけれども、いわゆる家計に当たりましては、低所得に与える点をいろいろ考えて、低所得向けのローンをいろいろやらせていただいたり、所得の低い方は一万円、高齢者では一万五千円等々の補助が出たり、いろいろな形で個別のものがいろいろございますのはもう御存じのとおりなので、いろいろな形で消費税というものの点を考えてやらせていただいております。
 一番肝心なことは、消費税を上げる目的は何かといえば、いわゆる社会保障という一番大きくみんなに響いてくるところをきちんとカバーしていくという、先ほどどなたかの質問にあっておりましたけれども、今後一番大きないわゆる社会保障関係のものを今のうちからきちんとしておかねばならぬということが一番肝心なことなのであって、社会保障関係にこの消費税の全額が充てられるという前提になっているというところが、こういうふうに低所得向けへの配慮というのは、みんな忘れられていますけれども、ここが一番大きい、私どもは基本的にはそう思っております。
○畠中委員 低所得者向け、高齢者向け、こういったことを否定するわけではありませんけれども、視点として一番欠けているのは、まさに現役世代、社会保障とまさにおっしゃいましたけれども、負担を一番大きく受けるのは、まさに現役世代、子育て世代ではないでしょうか。
 社会保障だって、その社会保障の支払い、可処分所得というのが極めて制限的になってしまう、そういうような予算に見えてしまいますので、私どもは、繰り返しになりますが、修正案の中で、世代間格差を解消する社会保障の抜本改革を訴えておりますので、ぜひとも議員各位の皆様に御賛同をお願いしたいと思います。
 それでは、時間も限られていますので、質問を移らせていただきます。
 先ほど、阪神の震災のお話をさせていただきましたけれども、私も、もうすぐ震災の経験から二十年になろうとしています。その間、景気も非常に悪い時代もあって、だからこそ、いろいろなその間の問題を感じて私はここに立っている、そのように思うわけであります。
 例えば、若い人たちの教育の問題や、あるいは現役世代の皆さんが感じてくる問題というのは、何も教育、そういったことだけではなくて、本当に社会全体のありようや経済のありよう、日本全体のありようによって影響を受けるのではないでしょうか。
 先ほども阪神震災から二十年間と言いましたけれども、当時おぎゃあと生まれた赤ちゃんは、もうすぐ二十になろうとしているわけであります。その間の我が国の社会のありようというのは、果たしてどうだったでしょうか。
 今、経済が長い低迷にあった中で、例えば、我が国を取り巻く安全保障環境、これが厳しい状態にある、こういうことを繰り返し繰り返し総理もおっしゃっておられますけれども、景気が悪くなって、そして安全保障環境が厳しくなったら、当然、日本全体としてはナショナリズムが頭をもたげてきます。こういう時代のリーダーはどうあるべきかということを、ぜひとも総理に考えていただきたいと思うんです。あおるべきか、あるいは抑制的であるべきか。総理には、御自身が信任されていると過信をするのではなくて、常に周囲を確認しながら、特に説明をこの国会の場でも大事にしていただきたいと思います。
 そこで、この予算委員会の中でもまだまだ十分な議論はなされていないと思いますけれども、集団的自衛権の問題に絡む質問をさせていただきます。
 自民党の公約に書いてある国家安全保障基本法案、その中の第十条、国連憲章に定められた自衛権の行使、いわゆる集団的自衛権です。
 我が党においても、賛成派、慎重派の識者をお招きして、現在鋭意取りまとめているところでございます。我が国を取り巻く環境を考えれば、グレーゾーン対応のすき間を埋める必要がありますし、憲法解釈を変えて集団的自衛権の行使を容認するというならば、先ほど申し上げましたように、国会においてしっかりとした議論が必要だという立場でございます。
 先日、集中審議もありましたけれども、まだまだ足りないのではないでしょうか。報道に出る割には、この集団的自衛権の行使がなぜ必要かという説明がまだまだ十分になされていません。
 国家安全保障基本法案を自民党は選挙で示されて、そういった基本的な枠組みを国会に示して、そして議論することも大切かと私は思っているわけでありますが、その後、この国家安全保障基本法案、現在、政府あるいは与党においてはどのように検討されていて、進捗はどうなっているのでしょうか。総理・総裁の立場で説明をお願いします。
    〔萩生田委員長代理退席、委員長着席〕
○安倍内閣総理大臣 国家安全保障基本法案は、我が党が野党時代に、国の安全保障についての基本的な考え方を取りまとめたものであります。その中におきましては、御承知のように、集団的自衛権の解釈について、変更を事実上認めていくことについての趣旨についても書かれているわけでございます。
 この国家安全保障基本法を出すということは、我々は今、政府の立場にあるわけでありますから、政府としては、いわば、集団的自衛権の行使を可能にする法律を法律として出すわけにはいかないわけでありまして、解釈を変更しなければ、それは違憲立法になってしまうわけであります。
 ですから、これはまず、今、安保法制懇で議論が行われているわけでありまして、この議論が終局をし、その結論を得た上において、憲法の解釈の変更が必要であれば、必要であるという解釈の変更を行う。
 そして、それを閣議決定し、その上において、実際に自衛隊が行動する、その解釈がもし変わっていった場合、変わっていったことにおける行動が可能になった場合、しかし、行動を行う場合には、その法律をつくらなければ、法律を改正しなければ、その行動は行うことはできないわけでございます。つまり、そのことについてはしっかりと国会で議論が行われていくことになる、こういうことでございます。
 基本法におきましては、今申し上げましたように、野党として我々は法律を出したわけでございまして、それは考え方を示すものであります。そして、野党としてできることは、いわば、その法律を通すことによって考え方を変えていくということでありますが、しかし、政府としては、この解釈について、あらかじめ変更していなければ、変更を前提とした法律を出すことはできない、これは自明の理なんだろう、このように思うわけでございます。
○畠中委員 時間が参りましたので、質問ではなくて、意見だけ申し上げますが、解釈の変更をして、それから法律を出すというのは、順番は理解できるんですけれども、今の答弁では、国家安全保障基本法案の位置づけというのが非常に曖昧な答弁であったのではないでしょうか。
 しっかりと、わかりやすい枠組みをぜひとも提示していただくような御準備を、そして、その進捗がどうなっているのかということを、ぜひ今後示していただければと思います。
 以上で終わります。
○二階委員長 これにて畠中君の質疑は終了いたしました。

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